石川県は能登半島の中央部に位置する七尾市。
県庁所在地の金沢市からは国道159号線か、能登有料道路で1〜2時間でたどり着ける。
ライトマップルを眺めていると、そんな七尾市の片隅にある隧道を発見した。 入り口は普通の単車線林道、舗装もされている。 |
|
しばらく行くと、路面は怪しくなり、落ち葉の堆積が目立ち始める。 自動車の通行も少ない様子で、地元の人しか通行しないのだろう。 | |
そして現れる見事な貫禄のポータル。 一応コンクリート作りだが、亀裂が入り、石積みのようだ。 路上には落ち葉が堆積しており、利用者の少なさを物語っている。 | |
扁額周辺には枯れ木がもたれかかり、つるが垂れ下がっている。 コンクリート製の扁額には「太平隧道」の表示がはっきりと確認できた。 | |
ポータル右側には「昭和四十一年五月竣工」と表示がある。 四十年経過した隧道はまさに年代相応の貫禄を見せている。 ポータル左側には隧道建設にかかわった人の名前が刻まれていた。 | |
太平隧道工事 工事委員長 蓑川 一郎 会計 谷川 喜作 委員 蓑川 正義 ※ 前田 祐吉 蓑川弥右ェ門 谷口喜八郎 松沢勇一郎 (※は「八」の下に「エ」) (工事出役者省略) この隧道は地元の有志が建設したのかもしれない。 |
|
坑内の様子。コンクリート吹きつけだったらしい壁面は見事に剥げ落ちている。
もともと土質がもろいのか、全体にわたって剥落していた。
剥落した壁面の土が路上に積もっている。 特色はそればかりではない。 |
|
入ってきたポータル方向を振り返ると、上に大きな穴が開いている!
こんな大胆不敵な隧道は初めてお目にかかった。
また、ポータルの穴の大きさと洞内の断面を比べると差が大きく、
かなりの暑さの壁面が崩れ落ちていることが推定できる。 あまりのサプライズに大興奮だった。 |
|
崩れ落ちた壁面のコンクリート片。うすーく剥落を繰り返し、坑内両側に小山になっている。 50m程度の坑内を反対側に進む。 |
|
こちら側のポータル上部にも大穴が。 修復が入らずに何十年もの間使われていると、こんな風になるものなのだろうか。 それとも、資金難からコンクリート厚が確保できなかったんだろうか。 よくわからないが、壮大な風景だった。 | |
ポータルを外側から見ても大穴の存在はわからない。こちら側のポータルは何の表示もなくシンプル。
この先には山が続いているように見えた。どこかに抜けているのか、先の方までは車で探索していない。 ポータル上部に大穴を開けた変り種個人隧道は七尾市山中に現役である。 |